災害時の情報術|警戒レベルの見方と情報収集・安否確認

災害時の情報術|警戒レベルの見方と情報収集・安否確認

災害時には、テレビやスマホ、防災メールなどから多くの情報が届きます。しかし、情報が多いほど、何を確認して、いつ動けばよいのか迷ってしまうことがあります。

車椅子の母と歩行器を使う父と暮らすわが家では、避難すると決めてから実際に動き出すまでに時間がかかります。そのため、「何を見るか」「誰が確認するか」「どの段階で動くか」「連絡はどうするか」を、普段から家族で決めておくことが大切だと考えています。

この記事では、警戒レベルの見方をはじめ、停電時の情報収集、家族の安否確認、わが家で決めている情報ルールについてまとめます。

目次

災害時の情報は「何を見るか」を普段から決めておく

どの情報をどこで確認するか、事前に決めておかないと、緊張した状況では判断が遅れます。わが家では「情報源をカテゴリ別に固定する」ところから始めました。

遥がスマホを確認し、自治体・気象情報・テレビやラジオを情報源として選ぶ

警戒レベルの意味を家族でそろえる

台風や大雨が近づいたとき、テレビやスマホには「警戒レベル3」「警戒レベル4」という言葉が流れます。でも、それが何を意味するのか、家族全員が同じように理解していないと、行動のタイミングがばらばらになります。

わが家が特に意識しているのは、レベル3とレベル4です。

警戒レベル3(高齢者等避難)
危険な場所にいる高齢者や障害のある方など、避難に時間がかかる方と、その避難を支援する方が避難する段階です。内閣府の「避難情報に関するガイドライン」でも、この段階での避難が求められています。

わが家は父も母も移動に時間がかかります。台風・大雨・高潮など警戒レベルが用いられる災害に備え、車椅子や歩行器、荷物や車の準備は事前に整えます。

自宅に浸水などの危険があり、安全な場所への移動が必要な場合は、警戒レベル3(高齢者等避難)を避難開始の基本的な目安にしています。

必ず避難所へ行くという意味ではなく、危険な場所から安全な場所へ避難を始めるための目安です。発令を待つことで危険になる場合は、気象情報や周囲の状況に応じて、さらに早く判断することが大切です。

高齢者や要介護者、持病のある方には移動や避難先での生活が身体的・精神的な負担になる場合もあるため、体調や介護の状況も踏まえ、親類宅などを含めた安全な避難先を事前に考えておきます。

自宅にとどまる場合も、その災害に対して自宅と周囲が安全で、生活を継続できる環境があることが前提です。

警戒レベル4(避難指示)
危険な場所にいる人は全員避難する段階です。安全な場所にいる場合まで、一律に避難所へ移動するという意味ではありません。

なお、2026年5月29日から、新たな防災気象情報の運用が始まり、これまでの「大雨警報」は「レベル3大雨警報」という名称で発表されるようになりました。

ただし、市区町村の「警戒レベル3 高齢者等避難」と、気象庁の「レベル3大雨警報」は同じ情報ではありません。前者は市区町村が発令する避難情報、後者は避難判断の材料となる防災気象情報です。

市区町村から高齢者等避難が発令されていなくても、レベル3に相当する防災気象情報が発表された場合は、キキクルや河川の水位情報、周囲の状況を確認し、早めに判断することが大切です。

警戒レベルごとの意味と家族の行動を一覧にして、すぐ確認できる場所に置いておくと、いざというときにも迷いにくくなります。

確認先を固定しておくと、いざというとき迷わない

「どこを見れば何がわかるか」を普段から決めておくことで、緊張した場面でも迷いにくくなります。確認先は、次のように情報の種類ごとに分けておくとわかりやすくなります。

  • 避難情報・警戒レベル:市区町村の公式ホームページ、防災メール、防災アプリ
  • 気象情報・雨量・河川の水位:気象庁のウェブサイト、キキクル、国土交通省や自治体の河川情報
  • 電気・水道・ガスの状況:各ライフライン事業者のホームページや専用ダイヤル

自治体の防災メールや防災アプリでは、避難情報や気象情報などが配信されます。

ただし、配信される情報や登録方法は自治体によって異なります。住んでいる自治体の公式ホームページで確認し、必要なサービスを普段から登録しておくと安心です。

スマホ・テレビ・ラジオを組み合わせて使う

「ひとつだけに頼らない」という考え方で、わが家ではスマホ・テレビ・ラジオを組み合わせています。

スマホは速報性に優れていますが、災害時には通信が混み合い、つながりにくくなることがあります。

テレビは映像で広い範囲の状況をつかみやすい一方、停電時に電源を確保できなければ視聴できません。

乾電池式のラジオは家庭の電源が止まっても使うことができ、通信回線が混み合っているときにも放送から情報を得られます。

それぞれの長所を生かして補い合うことが、複数の情報手段を備える理由です。

停電しても情報を取りに行ける準備をする

「停電になったとき、情報が届かなくなる」という状況を何としても避けたいと思っています。スマホもテレビも動かない中で、何も情報が入ってこない状況は、不安を大きく増幅させます。

モバイルバッテリーで充電するスマホと、携帯ラジオ・予備の乾電池

モバイルバッテリーは普段使いしながら備える

スマホの充電が切れると、情報収集や家族との安否確認が難しくなります。わが家では、普段のスマホ充電にモバイルバッテリーを使うほか、防災リュックにもスマホ充電用として入れています。

モバイルバッテリーを購入するときは、価格や容量だけでなく、安全面も確認することが大切です。PSEマークの有無に加え、製造・輸入事業者や国内の問い合わせ先が明確で、リコール情報を確認できる製品を選ぶことが大切です。

リチウムイオン電池を使用したモバイルバッテリーには、使用していなくても少しずつ残量が減る「自己放電」という特性があります。

Anker Japanの公式案内では、長期間使用しない場合は残量を50~80%にして保管し、3か月ごとに残量を確認して50%以上まで充電することが勧められています。

そのため、防災リュックに入れているモバイルバッテリーも、入れたままにせず定期的に取り出し、残量や本体の状態を確認しています。残量が減っていれば充電し、膨らみや破損、以前より熱くなるといった異常がないかも点検します。

充電時間が以前より長い、残量の減りが早い、正常に給電できないといった変化も、劣化に気づく目安になります。適切な保管方法や点検時期は製品によって異なるため、使用している製品の取扱説明書も確認します。

在宅避難ではポータブル電源からスマホを充電することもできますが、持ち出す場合や家族が別々の場所にいる場合には、モバイルバッテリーが役立ちます。防災リュックに入れたまま忘れず、定期的に確認しておくことが大切です。

わが家ではワイドFM対応・乾電池式を選んだ

停電によってテレビが見られず、スマホの通信も不安定になった場合、ラジオは情報を得るための大切な手段の一つです。わが家では、ワイドFMに対応した乾電池式のラジオを備えています。

ワイドFM(FM補完放送)は、AM放送の番組をFM電波でも聴ける仕組みです。地域や建物の状況によっては、AM放送が入りにくい場所でも受信しやすくなる場合があります。利用するには、ワイドFMに対応したラジオが必要です。

乾電池式なら、家庭の電源が止まっても使用できます。ただし、備えているだけでは、いざというときに操作や受信で迷うかもしれません。普段から置き場所や選局方法を確認し、自宅で受信できる放送局を実際に聴いておくことが大切です。

電池の種類を統一して、管理をシンプルにした

災害時に、「この機器に合う電池がない」「スマホに合う充電ケーブルがない」という事態は避けたいところです。そのため、わが家では電池や充電用品の種類をできるだけ絞っています。

防災リュックには、モバイルバッテリーとスマホに合う充電ケーブルを一緒に入れています。また、ラジオや懐中電灯などの防災用品は、できるだけ単3形または単4形の乾電池を使用する製品でそろえています。

使用する乾電池の種類を絞っておけば、予備電池を管理しやすくなり、必要なときに合う電池が見つからないという事態も防ぎやすくなります。

家族の安否確認は「連絡手段を複数持つこと」が基本

わが家では、両親の通院などで家族が別々の場所にいることがあります。

そのようなときに災害が起きると、「今どこにいるのか」「無事なのか」がすぐにはわからない可能性があります。連絡手段を一つに頼らず、複数用意しておくことが大切だと考えています。

浩平がスマホを確認し、電話・メッセージ・災害用伝言サービスを連絡手段として用意する

災害用伝言ダイヤル(171)は一度試しておく

大きな災害が発生すると、電話が集中してつながりにくくなることがあります。「災害用伝言ダイヤル(171)」は、電話番号を手がかりにして、音声による安否情報を登録・確認できるサービスです。

災害用伝言ダイヤル(171)は、固定電話や公衆電話のほか、携帯電話・スマートフォンからも利用できます。携帯電話などからの利用条件は、契約している通信事業者の案内も確認しておくと安心です。

家族の間で、どの電話番号を伝言の登録先にするか、事前に決めておくことが大切です。録音する人と再生する人が、同じ電話番号を入力します。暗証番号を使用しない場合の基本的な流れは、次のとおりです。

  1. 171をダイヤルする
  2. 録音する場合は「1」を選び、音声案内に従って電話番号を入力して、30秒以内で伝言を残す
  3. 再生する場合は「2」を選び、録音時と同じ電話番号を入力して伝言を聞く

固定電話の番号を使用する場合は、市外局番から入力します。

NTT東日本・NTT西日本の電話サービスから利用する場合、伝言の録音・再生にかかる通話料は無料です。それ以外の通信事業者の電話や携帯電話から利用する場合は、契約している通信事業者への確認が必要です。

わが家の固定電話は光回線を使用しているため、停電で通信機器の電源が切れると使えません。固定電話があっても、停電や災害時に回線を利用できるとは限らない点に注意が必要です。

父母が自宅にいるときは、基本的に浩平か私のどちらかが一緒にいます。そのため、171を利用する場合は、一緒にいる者が父母の分も含めて安否情報を録音します。

災害用伝言ダイヤル(171)は、毎月1日と15日のほか、正月三が日、防災週間、防災とボランティア週間にも体験利用できます。詳しい日時や利用条件は、NTT西日本「災害用伝言ダイヤル(171)体験利用のご案内」で確認できます。

わが家でも、いざというときに戸惑わないよう、体験利用日に録音と再生の操作を一度試しています。

防災アプリの通知設定を家族で確認しておく

防災アプリは、インストールするだけでなく、対象地域や受け取る情報を設定しておくことが大切です。通知を受け取れるようにしておけば、気象警報や避難情報などの変化に気づきやすくなります。

わが家では、浩平と私の両方のスマホに同じ防災アプリを入れ、対象地域や通知項目を設定しています。どちらかがスマホを手元に持っていないときでも、もう一方が情報に気づけるようにするためです。

紙の連絡先メモを持ち出し袋に入れておく

スマホに連絡先を登録していても、充電切れや故障によって確認できなくなることがあります。わが家では、家族やケアマネジャーなど、緊急時に連絡が必要な相手の電話番号を紙にまとめ、持ち出し袋に入れています。

紙のメモがあれば、自分のスマホを使えないときでも、公衆電話や借りた電話から連絡したり、周囲の人に連絡を頼んだりできます。連絡先をスマホ以外でも確認できるようにしておくことが大切です。

家族で情報確認と行動のルールを決めておく

災害時に役割が決まっていないと、情報の確認や避難の準備が遅れることがあります。わが家では、誰がどの情報を確認し、どのタイミングで動くのかを普段から話し合っています。

家族4人で、情報の確認役や連絡方法、連絡できないときの決まりを話し合う

誰がどの情報を確認するか決めておく

わが家では、自治体の避難情報や気象情報の確認は浩平、私は両親の準備と移動を担当することを基本にしています。役割を決めておくことで、情報の確認と避難の準備を同時に進めやすくなります。

ただし、役割を完全に固定しているわけではありません。両方のスマホで同じ情報を受け取れるようにし、どちらかが確認できないときは、もう一方が補うようにしています。

年2回、情報と連絡手段を見直す

防災アプリの通知設定や紙の連絡先、家族の役割分担は、時間が経つと実際の状況と合わなくなることがあります。

わが家では、台風シーズン前の6月と年末の年2回、防災バッグの点検とあわせて、アプリの設定や連絡先、情報確認の方法を見直しています。ほかの防災用品と同じタイミングで確認することで、無理なく続けやすくなります。

まとめ|情報を受け取る手段と家族の動きを普段から整えておく

この記事でご紹介した、わが家の情報の備えを振り返ります。

  • 警戒レベルの意味と避難を始める目安を家族で確認しておく
  • 自治体・気象・ライフラインなど、確認する情報源を決めておく
  • スマホ・テレビ・ラジオを組み合わせ、一つの手段だけに頼らない
  • モバイルバッテリーや乾電池式ラジオを普段から使い、状態を確認する
  • 災害用伝言ダイヤル(171)・防災アプリ・紙の連絡先を用意する
  • 家族の役割を決め、年2回を目安に情報と連絡手段を見直す

災害時に必要な情報が入らないと、避難や安全確保の判断が難しくなります。だからこそ、「何を見るか」「誰が確認するか」「どのように連絡するか」を普段から決めておくことが大切です。

すべてを一度に整える必要はありません。防災アプリの通知設定を確認する、ラジオが受信できるか試す、紙の連絡先を用意するなど、できることから少しずつ始めておきましょう。

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この記事を書いた人

遥のアバター 遥 防災備蓄収納2級プランナー

高齢の両親と暮らしながら、夫の浩平とともに、毎日の暮らしの延長で続けられる防災を実践しています。備蓄や収納、介護が必要な家族との備えについて、わが家で実際に行っている工夫や取り組みをお伝えしています。

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