わが家の防災はここから|地域の災害リスクとハザードマップ活用

わが家の防災はここから|地域の災害リスクとハザードマップ活用

防災を始めようと思ったとき、最初にすることって何でしょうか。わが家の場合、「まずハザードマップを確認しよう」が出発点でした。

浩平はもともと地図の読み方に慣れていましたが、私自身がきちんと向き合ったのは、両親の介護が始まってからのことです。「この地図の情報を、うちの4人の現実にどう活かすか」。そこを考え始めたとき、防災が一気に自分事になりました。

80代の両親と暮らすようになってから、「もしものとき、この4人でどう動くか」を真剣に考えるようになりました。わが家がいる海抜ゼロメートル地帯は、地震でも水害でも危ない場所。だからこそ、まず自分たちがどんなリスクの中にいるかを知ることから始めました。

この記事では、ハザードマップの読み方から、わが家の現実に合わせた避難判断の決め方まで、一緒に整理していきたいと思います。

目次

地域の災害リスクを知ることが、わが家の防災の出発点

ハザードマップを開いてみて最初に気づいたのは、「わが家はかなり濃い色の場所にある」ということでした。

地震、水害、高潮と、どのリスクも他人事ではありませんでした。

遥が地図を確認し、地域の洪水・高潮・地震の危険を把握する

まず確認したいのは地震・水害・高潮など災害の種類

ハザードマップは、一枚で全部のリスクが見えるわけではありません。種類によって地図が分かれています。

国土交通省と国土地理院が運営する「ハザードマップポータルサイト」では、以下のような種類のリスク情報を確認できます。

  • 洪水(河川の氾濫)
  • 内水(雨水が排水しきれない浸水)
  • 高潮(台風などによる海面上昇)
  • 津波
  • 土砂災害

わが家でも、自宅の位置を指定して、洪水・津波・高潮の浸水想定を確認しました。場所や災害の種類によって表示される深さが異なるので、地図の色に加えて文字の情報も確かめておきたいところです。次の画像は、そのときの表示画面です。

ハザードマップポータルサイトで地点を指定し、洪水・津波・高潮の浸水想定を確認した画面

自宅の位置を指定したときの災害リスク表示画面。プライバシー保護のため、住所・地名を「○○」に置き換えています。

出典:ハザードマップポータルサイト(住所・地名を加工)

※この表示には、選択した地点とその周辺の災害リスク情報が含まれます。自宅の敷地だけの浸水深を確定するものではありません。

ご自宅の周辺についても、災害の種類ごとに確認してみてください。避難先や行動を考えるときは、お住まいの市町村が作成したハザードマップも確認してください。

わが家がある地域は、台風シーズンの高潮リスクと、南海トラフ地震による津波・液状化リスクが重なっています。

同じ地区でも、どの地図を見るかでリスクの見え方がまったく変わります。

まずは「うちの地域は、どの種類の災害がどの程度起きやすいか」を一通り確認しておくと、備えの方向性が定まってきます。

色が薄い場所でも安心しきれない理由を家族で共有する

ハザードマップでは、想定される浸水の深さが色分けで示されているものがあります。比較的浅い浸水深を示す色の場所でも、それだけで「安全」とは言い切れません。

地図に示されているのは、一定の条件をもとに想定された被害の範囲や深さです。

実際の災害では、想定と異なる浸水が生じる場合もあります。

浩平がよく言うのは、「地図はリスクのヒントであって、保証じゃない」ということ。

色が薄くても、実際に水が来たときの行動を決めておくことが大切です。

液状化についても、地図の種類や想定条件によって表示の意味が異なります。

色だけで安全と判断せず、凡例や想定条件まで確認しておくことが大切です。

家族で地図を見るときに、色が何を示しているのかまで一緒に確認しておくと、リスクについて同じ認識を持ちやすくなります。

高齢の親がいる家庭は避難のしやすさまで含めて見る

地図でリスクのある場所を確認したら、次にそこからどうやって逃げるかまで見ておく必要があります。

高齢の家族がいる場合、避難の手段や時間が通常とは大きく変わります。

わが家では、避難先までの距離だけでなく、両親の移動手段や介助の必要性も含めて考えています。

車椅子と歩行器を使う両親との移動は、実質的には車が前提です。

ただ、ひとくちに「避難」といっても、災害の種類によって状況はまったく違います。

台風のように事前に予測できる災害なら、早めに動いて車で避難することができます。

一方、地震のような突然の災害では、道路の状況や車の位置によって、すぐに車を使えるとは限りません。

だからこそ、ハザードマップを見ながら「台風のとき」「地震のとき」「夜間のとき」「浩平が不在のとき」と、いくつかのパターンを想定しておくことが大切です。

一通り考えておくだけで、いざというときの判断がずっとスムーズになります。

ハザードマップと防災マップを使い分けて、避難行動につなげる

地図の名前に「ハザードマップ」と「防災マップ」が混在していて、最初は混乱しました。

調べていくうちに、この2つは役割が違うことがわかり、それからずっと頭の中が整理されてきた気がします。

危険な場所を示すハザードマップと、避難場所や経路を示す防災マップを見比べる

被害予測を見る地図と、実際に動く地図は役割が違う

大まかにいうと、次のような使い分けです。

  • ハザードマップ:「何が・どのくらいの規模で起きうるか」を示した被害予測の地図
  • 防災マップ(避難マップ):「どこに・どうやって逃げるか」を示した行動のための地図

ハザードマップでリスクを把握して、防災マップで行動を決める。

この2段階で考えると、地図の使い方がぐっとクリアになります。

ハザードマップポータルサイトでは、複数の災害リスクを一枚の地図に重ねて表示できる「重ねるハザードマップ」と、各市区町村が作成した「わがまちハザードマップ」の両方を確認できます。

まずはここから始めると、効率よく調べられます。

避難場所・避難所・ルートを家族ごとに確認する

防災マップで確認したいのは、主に3つです。

  1. 指定緊急避難場所:災害の危険から命を守るため、緊急に避難する場所や施設。災害の種類ごとに指定されているため、想定する災害に対応しているか確認します。
  2. 指定避難所:危険が去るまで、または自宅に戻れない間に滞在する施設
  3. 避難ルート:その災害に対応した安全な避難先まで、家族の移動手段に合わせて確認する経路

高齢の家族と確認するときは、「車椅子や歩行器で通れる道か」「段差や狭い路地がないか」も合わせて見ておきます。

普段歩く分には通れる道でしたが、防災の目線で歩いてみると、災害時には気になる場所がいくつも見つかりました。

地図を見たら終わりにしない、行動のルールまで決める

地図を見て「ここが危ない」「ここに逃げる」と確認できても、それだけでは備えが完成したとは言えません。

「誰が・いつ・何をするか」まで決めておくことが大切です。

たとえば、「荷物や車の準備は事前に整え、自宅が危険で移動が必要な場合は警戒レベル3を避難開始の目安にする」といった行動の合図に加え、誰が荷物を準備し、誰が両親を介助するかを言葉にしておきます。

これがないと、いざというとき「どうしよう」と判断が止まってしまいます。

わが家の現実に合わせた避難判断を決める

「いつ、どこへ避難すればいいか」。

これが、要介護の家族がいる家庭にとって、一番難しい問いだと思います。

移動や避難先での生活も負担になる一方、危険な場所にとどまることはできません。

わが家でも、この基準を決めるのに一番時間がかかりました。

家族4人で地図を囲み、家族の状況に合わせた早めの避難を話し合う

垂直避難が難しい家庭ほど早めの判断基準が必要

垂直避難とは、上階など、より高い場所へ移動して浸水から身を守る方法です。

ただし、上階に移動すれば必ず安全というわけではなく、建物や浸水の条件を確認する必要があります。

ただ、わが家では父も母も1階から2階への移動が難しい状況です。

垂直避難が難しい家庭は、外に出られる状況のうちに早めに動くことが基本になります。

「ギリギリまで様子を見てから判断する」ではなく、「早い段階で動けるように準備し、少し早めに決断する」。

垂直避難できない分、判断を前倒しにする必要があります。

介護ありの移動時間は地図どおりにいかない

地図上の徒歩所要時間だけでは、両親との避難に必要な時間は分かりません。

車椅子や歩行器の準備、車への乗車介助、荷物の積み込みも含めて考える必要があります。

車で移動できれば速いですが、台風時は浸水が始まる前に動く必要があります。

「水が来てから動く」では間に合わないことがあるのは、海抜ゼロメートル地帯に暮らしているとより実感することです。

移動にかかる実際の時間を逆算して、「何時間前に動き始めるか」を決めておく。

それが、介護がある家庭の避難計画の核心だと思っています。

警戒レベル3を目安に動くなど、先に決めておく

内閣府の「避難情報に関するガイドライン」では、警戒レベルを1〜5の5段階で定めています。

  • 警戒レベル3(高齢者等避難):危険な場所にいる高齢者や障害のある方など、避難に時間がかかる方と、その避難を支援する方が避難する段階です。
  • 警戒レベル4(避難指示):危険な場所にいる全員が避難するタイミングです。

わが家では、台風・大雨・高潮など警戒レベルが用いられる災害に備え、準備は事前に整えます。

自宅に浸水などの危険があり、安全な場所への移動が必要な場合は、警戒レベル3(高齢者等避難)を避難開始の基本的な目安にしています。

警戒レベル3は、必ず避難所へ行くという合図ではなく、危険な場所にいる高齢者等が安全な場所への避難を始めるための目安です。

発令を待つことで危険になる場合は、気象情報や周囲の状況に応じて、さらに早く判断することが大切です。

ポイントは、「そのとき判断する」ではなく「事前にルールを決めておく」ことです。

緊張した状況でも迷わず動けるのは、基準を言葉にしておいたからだと実感しています。

避難先は、判断のタイミングと合わせて事前に考えておくことが大切です。

高齢者や要介護者、持病のある方にとっては、移動や避難先での生活が身体的・精神的な負担になる場合もあります。

その災害に対して自宅が安全か、親類宅など別の安全な場所へ移動できるかを、本人の体調や介護の状況も含めて考えます。

ただし、体調だけを理由に自宅に残ると決めず、自宅と周囲が安全で、生活を継続できる環境があることを確認する必要があります。

防災散歩とマイタイムラインで、机上の備えを現実に変える

地図やルールを決めたあと、浩平が「実際に歩いてみよう」と言いました。

最初はちょっとめんどうだなと思ったのですが、やってみると地図では見えなかったものがたくさんあって、すごく良い機会になりました。

遥と浩平が地域を歩いて避難経路を確認し、誰がいつ何をするかを整理する

防災散歩で段差・側溝・危険物を見つける

防災散歩とは、避難ルートを実際に歩いて確認する取り組みのことです。

わが家では、両親は連れて行けないので浩平と私の2人で歩きました。

実際に歩いてみてわかったこと:

  • 一部の歩道に段差があり、車椅子では押すのに力がいる場所がある
  • 側溝のふたが古く、車椅子のキャスターが引っかかりそうな箇所がある
  • 夜間は街灯が少ない区間がある

地図では安全な経路に見えていたルートでも、実際に歩くと課題が出てきます。

雨天や夜間は、徒歩での移動が難しいことも確認できました。

台風など事前に予測できる災害では、道路や周囲が安全なうちに、早めに車で移動することを考えています。

マイタイムラインで誰がいつ何をするかを書き出す

マイタイムラインとは、台風などの予測できる災害に備えて、「何時間前に誰が何をするか」を時系列で書いたシートのことです。

わが家の場合はこんな形です(台風接近時の例):

  • 台風上陸2日前:浩平が庭の片付け、私が備蓄確認と持ち出し袋の点検
  • 前日:車にガソリン満タン、両親の薬とお薬手帳を持ち出し袋に入れる
  • 警戒レベル3を基本的な目安に:自宅が危険で移動が必要な場合は、事前の準備をもとに安全な場所への避難を開始。発令を待つと危険な場合は、さらに早く判断

書き出してみると、「2人だと同時に動けないこと」「早めにやっておくべきこと」が見えてきます。

家族会議で見直して更新する習慣をつくる

マイタイムラインは、一度作ったら終わりではありません。

両親の体調が変わったり、浩平の仕事の状況が変わったりすると、行動の流れも変わってきます。

わが家では、台風シーズン前(6月頃)と年末の2回、家族4人でマイタイムラインの内容を確認する時間を設けています。

父も「備えすぎるくらいでちょうどいい」という考えなので、こういう時間を嫌がることはなく、むしろ積極的に意見を出してくれます。

毎年更新する仕組みを作っておくと、無理なく続けられます。

まとめ|地域のリスクを知り、わが家の行動を決めるところまでが防災の第一歩

ハザードマップを見ることは防災の入り口です。

でもそこで止まらず、わが家の現実に合わせた行動を決めるところまでつなげることが、本当の意味での第一歩だと思っています。

特に、高齢の家族がいる家庭は移動に時間がかかるという前提で、早めに判断する基準を持つことが大切です。

地図を開いて、家族で話し合って、実際に歩いてみて、タイムラインに書き出す。

そのひとつひとつは、それほど難しいことではありません。

一度やってみると備えているという実感が持てて、少しだけ不安が減りました。

まだ何も始めていないという方も、まずはご自宅のハザードマップを開くところから、始めてみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

遥のアバター 遥 防災備蓄収納2級プランナー

高齢の両親と暮らしながら、夫の浩平とともに、毎日の暮らしの延長で続けられる防災を実践しています。備蓄や収納、介護が必要な家族との備えについて、わが家で実際に行っている工夫や取り組みをお伝えしています。

目次